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My First Story of Traveling USA ①

Winter Morning in New York

 

 大学最後の旅行にニューヨークへ行った。いわゆる卒業旅行だったが、私にとって初めての海外旅行だった。3月の半ばだったので、北米には寒波が到来することもよくあった。

 セントレア発、デトロイト空港経由、ラガーディア空港着のデルタ航空を利用した。学んだ英語でどこまで通用するか、ワクワクが止まらなかった。卒業旅行という名目だったが、英語の武者修行の旅でもあった。

 留学がしたい!と思っていたが、お金もなく、学部学科の性質上、大学を卒業できないリスクがあった。加えて、在籍年度が超えてしまうと学籍抹消の危険性まであり、留学できなかった。ある都内の有名な教授に「留学するくらいなら、観光で行って1日中スタバで誰かと話せ!」とアドバイスをもらった。それを実践しようと思ったのだ。

 

 

デトロイト空港にて

 

 長い空の旅から開放されてほっとした。流石にエコノミーに10時間以上も乗ったことがなかったので、歩くだけで体は喜んだ。入国とトランジットの列に沿って歩いていると、アフリカ系の空港職員に「おい、ウィンドストームが来てんぞ。大丈夫か?」と心配された。

 

 ウィンドストーム?まぁ大丈夫だろうと思っていたが、東海岸行きの便は全部遅延と表示されていた。ヤバい、どうすべきなのか全くわからない。ホテルに電話したほうがいいのだろうか、航空券って変更どうするの?とパニックに。

 焦っているとデルタ航空のカウンターが見えた。悪夢かというレベルの長蛇の列。1時間半ほど並んで、カウンターで変更の旨を伝えると

 

「2日後の便しか用意できない」

 

と言われた。なんやかんやで空港についてから4時間ほど経っていた。

 

「なんでここまできて、2日間もデトロイト空港で足止めされなきゃいけないんだ」

 

 生まれて初めてスタッフに対して怒りがこみ上げてきた。日本では、まずこんなことにはならないし、なんでそんなヘラヘラした態度なんだ…。日本のサービスに慣れきっていた私には、今も忘れらない衝撃的な体験だった。

 

 「ふざけんじゃねぇ!おれは日本から来てるんだ!なんでもいいから今日中にニューヨークに着く便の予約をしろ!」

 

 旅の疲れもあったのか、声を張り上げながらキレていた。私が苦手な、駅員さんにキレているおじさんのようになっていた。日本なら100%嫌われるだろうが、向こうは慣れた様子であっさりと取れたよってヘラヘラ笑っていた。何じゃこの国は。主張したら取るのかよと驚いた。

 たまたま取れただけだと思うし、キレたのでよくなかったが、主張することの大切さを経験した。まぁ日本なら無理なものは無理ですってなるところを、じゃやってみるわってなるのがいい面でも悪い面でもアメリカなのかも。

 

 取れた便は夜10時発だった。疲労感でうとうとしていると、怒りの声が聞こえてきた。

 

「いいから先におれを搭乗させろよ!」

「私一人じゃ無理!あとにしろよ!」

 

 30人くらいの人が搭乗ゲートでもめている。どうやらフライトを変更した人でごった返しになっていて、予約が取れていなかった人が何人かいるようだった。となるとみんな不安になってくるから、確認しろよと大騒ぎ。

 変更した証明書みたいなものをもらったが、QRコードしか書いていなかったため、私も不安になった。もめごとの外で待っていてると、「そこの若いアジア人、日本人か、パスポートを出せ!」と呼ばれた。すると、

 

「皆さん、この日本人の若者のように、謙虚にならんでください!彼から搭乗させます!どうか皆さん落ち着いて、ならんでください!」

 

 「えええええええ」と心のなかで叫んだ。全員の鋭い視線が後頭部にささる。背後から感じる人間の威圧感。もう完全に振り向けない。生きてきて20数年、あれほどまでに気まずい雰囲気を味わったことはない。

 

 デトロイトを出発し、乱気流でジェットコースター以上に揺れる機体。憧れのニューヨークに着いたのは午前1時だった。